空想

春の柔らかな日差しが、山々を照らし始めると、待ちわびたように顔を出す山菜があります。それが、渦巻き状の姿が愛らしいゼンマイです。ゼンマイは、山間部の湿り気のある斜面などに群生し、まるで春の息吹を一身に受け止めるかのように、力強く芽を出します。その姿は、厳しい冬を乗り越え、新たに芽吹く生命力を感じさせ、私たちに春の訪れを告げる風物詩と言えるでしょう。くるりと巻かれた若芽は、春の味覚として多くの人に愛されています。おひたしや和え物など、様々な料理に用いられ、食卓に彩りを添えます。古くから日本人に親しまれてきたゼンマイは、春の訪れを告げるとともに、力強い生命力で私たちを励ましてくれる存在なのです。