彼岸花:あの世と繋がる花
秋の彼岸の時期になると、燃えるような赤い花を咲かせる彼岸花をよく見かけるようになります。まるで夏の終わりを告げ、秋の始まりを知らせるかのように、田んぼのあぜ道や墓地などを彩ります。彼岸花はその鮮やかな赤い色から、「幽霊花」「地獄花」「死人花」など、少し怖いイメージの別名も持っています。これは、彼岸花が墓地の近くに咲いていることが多く、また、彼岸花には毒があることから、昔の人は彼岸花を不吉なものと考えることもあったためです。しかし、彼岸花は決して不吉な花ではありません。彼岸花は、その毒を利用して、モグラやネズミなどから田んぼや墓地を守ってきたのです。また、彼岸花の球根からはでんぷんを採ることができ、昔の人々は飢饉の際に彼岸花を食べて飢えをしのいだとされています。彼岸花は、その妖艶な美しさと少し怖いイメージ、そして昔の人の生活との関わりから、私たちに様々なことを語りかけてくる花と言えるでしょう。