西洋で悪魔的な花、ハリエンジュ
- ハリエンジュとは五月から六月にかけて、まるで白い藤の花が垂れ下がるように、房状の花を咲かせるハリエンジュ。甘い香りを漂わせるその姿は、春の終わりから初夏への移り変わりを告げる風物詩と言えるでしょう。街路樹や公園樹として植えられていることも多く、私たちにとって身近な存在です。その甘い香りは、香水や蜂蜜の原料としても利用されています。かつては「ニセアカシア」という別名で呼ばれていましたが、蜂蜜の表示には「アカシア」の名前が使われていたため、混同を避けるために現在では「ハリエンジュ」という和名が一般的になりました。丈夫で成長が早く、痩せた土地でも育つという特徴から、緑化や砂防のために積極的に植栽されてきました。しかし、その一方で、ハリエンジュは強い繁殖力を持つため、在来の植物の生育を阻害してしまう可能性も孕んでいます。美しい花と甘い香り、そして私たちの生活に役立つ側面を持つ一方で、在来の生態系への影響も懸念されるハリエンジュ。その存在は、私たちに自然との共存について改めて考えさせてくれると言えるでしょう。